日頃、福祉用具相談員をしている私ですが、福祉用具を使用される被介護者、また、そのご家族に用具の使用方法と共に、使用上の注意点を説明しています。特に介護用ベッドに関しては、使用時の事故がかなりありますので、安全に使用していただく為にも、しっかり説明をしています。(死亡事故にも繋がる事もあります。)
福祉用具の事業所から、レンタルしたベッドであれば、必ず職員より説明があるとは思いますが、購入をされた方は、恐らく説明を受けていないのではないでしょうか? 安全に使用していただく為にお役に立てれば幸いです。
介護用ベッド、使用上の注意点ってどんな事?
介護用ベッドは、特殊寝台と言われます。またそこに付随するマットレス・柵に関しては特殊寝台付属品とよばれ、本体・マットレス・柵2本が基本のセットの形になります。柵は全部で4本まで希望されれば設置可能です。ただし、拘束・抑制に該当する恐れがありますので普通は2本の設置になります。
では、介護用ベッドを使用する際の注意点を上げていきますので、参考にしてください。
〈注意点〉
1、ベッドの下には物を絶対に置かないこと。
ベッド下に物がある際に昇降をすると、その物が壊れたり、硬いものであれば、それを支点にベッドが傾いたり所定の位置からずれたりしてしまいます。
2、介護者がベッドを稼働させる際は、被介護者の四肢がベッド内に収まっているか確認すること。
介護用ベッドは高さを変えられたり、背もたれを動かしたり、足を上げたりすることができます。柵から手や脚が出た状態で稼働させてしまうと、挟まれて腕や脚が折れてしまいます。ご存知の通りお年寄りは骨が弱くなっています。簡単に折れてしまいます。柵(サイドレール)は、真上には抜けるのですが、斜めに抜くことはできません。実際にベッドを稼働させるとわかるのですが、背もたれ・脚上げ機能は斜めに稼働しますので柵は抜けないんですね。
介護ベッド使用時の一番の事故原因は、この挟み込みになります。
3、ベッド操作のコントローラーは柵の外に向けて設置。
寝返りなど誤って体でコントローラーのボタンを押してしまうケースがあります。最近のベッドのコントローラーは安全対策(電源が自動で切れるなど)が施されているのですが、絶対はありませんので、寝返り・不意な誤操作を避けるためにも、必ず柵の外側へコントローラーを置く癖をつけてほしいものです。
4、利用者本人が操作する際は、必ず手元に持って操作すること。
理由は、事例2で挙げたことと重複しますが、柵の外にあるコントローラーを操作して、手や脚を柵に挟んで骨折というケースも事故としては多い様です。認知機能が低下されている方の自身での操作は余りお勧めしません。手の届かない場所か、目に付かない場所、または電源を抜いておくと安心です。
5、ご家庭に小さいお子さんがいる場合は、電源コードは使用時以外は抜きましょう。
小さいお子さんがいるご家庭は注意してください。なぜなら子供にとって珍しい介護用のベッドです。コントローラーも物珍しいでしょう?ボタンがあれば押したくなるものです。
実際にあった話ですが、介護者が部屋に行った時ベッドが一番高く設定されていたり。怖い話なのですが、兄弟で遊んでいた子供の一人がベッド下に潜り込んでいたことに気付かずにもう一人がベッドを下げてしまい挟まれて怪我をしてしまった事も実際に起きた事故事例です。ですので、お子さんがいるご家庭では、できれば未使用時はコンセントを抜く事をお勧めいたします。また実際に動かしながらお子さんに危険な事を教えていただけると幸いです。
6、ベッドサイドに棚などを置かない。
私のお客さまでも結構いるんですが、身の回りの物を置くために棚を置かれている方がいらっしゃいます。これの何が怖いの?って思われるかもしれませんが、実際に事故事例(死亡事故)に繋がったケースがあります。
ベッド横のテーブルの上にある物を取ろうと、体を半身にして柵の外に手を伸ばしたところ、運悪く柵の上に首がのり、頸動脈圧迫により意識を失い、その後死亡。
こんな事故を避けるためにも、ベッド脇(上半身近くには)には物を置かないようにしていただけると幸いです。
最後に。
安全に介護ベッドを利用する為にも、レンタルなら福祉用具相談員・購入なら販売店の方に使用上の注意点を確認してください。危険行為は上記6点以外にもあるかもしれません。
コメント