pub-2692689168729180 車いすの選び方|専門相談員が教える7つのポイント | 「家族介護に役立つ”現場経験とプロ目線”での情報発信ブログ”」

車いすの選び方を専門相談員が解説!失敗しない7つの確認ポイントとレンタル・購入の違い

福祉用具

「車いすを1台お願いしたいんですけど!」

ケアマネジャーさん(以下、CM)から、たまにこんな電話をいただきます。

「はい、ありがとうございます!……で、どんな方が使われます?」

「えーっと……車いすが必要な方です!」

……そりゃそうでしょうね!(笑)

私は長年、福祉用具専門相談員として車いすの選定・搬入・点検に関わってきました。現場で感じるのは、車いすは「1台あればよい」という道具ではないということ。体格、身体状況、使用場所、誰が介助するかによって、選ぶべきものが大きく変わります。

今回は、そんな現場の「あるある」を交えながら、車いす選びで失敗しない7つの確認ポイントを、ご家族にもCMさんにもわかりやすくお伝えします。

※この記事のエピソードは、私自身の実務経験をもとにしたものです。製品の仕様や介護保険の適用可否は個別に確認してください。

車いすを選ぶ前に、まず確認したい7つのポイント

初回から利用者さんのところへアセスメントに伺えれば理想ですが、実際にはCMさんからの情報を頼りに候補を持参することも少なくありません。だからこそ、次の7点が大切です。

  • ① 体格:身長・体重の目安、座ったときの体幅、脚の長さ。細かな数値がなくても、体格の特徴を把握
  • ② ADL:座位保持、立ち上がり、移乗、歩行、手でこげるか・足でこげるか
  • ③ 麻痺・痛み・姿勢:片麻痺の有無、左右差、関節の動き、身体の傾きやすさ
  • ④ 操作する人:本人が自走するのか、家族・職員が介助するのか
  • ⑤ 使用目的:通院・買い物・車載が多いのか、家や施設で日常的に使うのか
  • ⑥ 使用環境:廊下・扉・段差・玄関・エレベーター・車の荷室など
  • ⑦ 必要な機能と今後の変化:標準型でよいか、多機能型や姿勢調整機能が必要か、将来のADL変化をどう見込むか

この7点がわかれば、候補をぐっと絞れます。逆に情報が足りないと……「とりあえず何台か持っていきますか!」となってしまうわけです(笑)。

自走式・介助式・多機能型、何が違う?

自走式:自分で車輪を操作したい方に

後輪のハンドリムを使って自分でこぐタイプが代表的です。ただし、「自分で移動したい」といっても、片手・片足で移動する場合などは、座面の高さや操作方法まで確認する必要があります。

介助式:家族や職員が押して移動することが中心なら

介助者が押して使うタイプです。小回りや車への積み込みやすさが重要になる場合もあります。ただし、軽いだけで選ぶのは禁物。本人の座りやすさと介助する人の扱いやすさ、両方を確認します。

多機能型・ティルト・リクライニング:姿勢や移乗に配慮が必要なら

肘掛けが跳ね上がる、足台が開閉できるタイプは、移乗方法によって役立ちます。姿勢の保持が難しい方では、ティルトやリクライニングなどの機能を検討する場合もあります。ただし、必要な機能と調整範囲は機種ごとに異なります。

「いい車いす=機能が多い車いす」とは限りません。利用者さんに必要な機能があることが一番です。

使用目的で選び方が変わる!通院・在宅・施設の違い

通院や外出が多く、車に積み込む場合

通院のたびに車へ積むのであれば、折りたたみ寸法、総重量、持ち手、車の荷室に収まるかなどを確認します。一般に軽量・コンパクトなものが便利ですが、身体に合わない軽量型を優先するのは本末転倒です。

在宅で毎日使う場合

室内の廊下や出入口を通れるか、テーブルに近づけるか、ベッド・トイレへの移乗がしやすいか。座面の高さや足台の形状まで、実際の生活動線で確認します。

施設・デイサービスで使う場合

長時間座るなら姿勢や座り心地、介助しやすさが大切です。施設ごとの動線、送迎車への乗車方法、保管場所も関係します。入居施設では車いすの持ち込みやレンタルの扱いが異なるため、施設との確認も必要です。

私がCMさんにまず聞きたいのは、「誰が、どこで、どんなふうに使う車いすですか?」。実はこれだけでも選定の方向性がかなり変わります。

いざ搬入!「あっ、こりゃあかんわ!」となることも(笑)

CMさんから聞いた情報だけで車いすを持って行き、実際に利用者さんを拝見して「おっと、これはサイズが合わないかも!」と気づくことがあります。

たとえば脚が長い方。座面高やフットサポートの調整が合わない。あるいは体格が想像以上にしっかりしていて、座幅が窮屈。

もちろん利用者さんには笑顔で「こちらも試してみましょうか」とお声がけします。でも心の中では「もうちょっと事前情報があったら~!」(笑)。

2回、3回と入れ替えることもあります。それ自体は悪いことではありません。身体に合わないものを無理に使っていただくほうが問題だからです。

試乗で確認したいこと

  • お尻や太ももが窮屈すぎない座幅か。広すぎて姿勢が崩れないか
  • 太ももの長さに合う座奥行か。膝裏に過度な圧迫がないか
  • 足こぎ、足台への足の置き方、移乗方法に合った座面高か
  • 肘掛け・足台が立ち上がりや移乗の邪魔にならないか
  • 背もたれやクッションで安定した姿勢を保てるか
  • 本人と介助者がブレーキを安全に操作できるか

座り方によっては専門職による姿勢評価や調整が必要です。カタログの寸法だけで決めず、できる限り実際に座って確認することをおすすめします。

フルリクライニング車いすを何台も?腰がぁ~!(笑)

普通の車いすなら、候補を数台積んで当日お持ちするのも、それほど苦ではありません。ところが、フルリクライニングタイプとなると話は別。機種によっては40kgほどあるものもあります。

運んで、降ろして、試していただいて……。真夏に何台もとなると、なかなかの重労働です。

しかも、選ばれなかった車いすを車に積み直す帰り道がまた大変!「腰がぁぁ~!」となることも。若いころはよかったんですけどね。最近はちょっとしんどい。なんせ爺いなので(笑)。

とはいえ、利用者さんに合うことが最優先。だからこそ特殊な車いすほど、事前に身体状況や必要な姿勢調整機能、搬入経路を確認して候補を絞りたいのです。重量物は無理に一人で扱わず、安全な運搬方法を取ることも大事です。

レンタル後も大切!ブレーキの工夫と付属品の管理

ブレーキレバーにラップの芯?ちょっと待って!

麻痺がある方などの車いすで、ブレーキレバーにサランラップの芯をかぶせて延長している場面を見たことがあります。使いやすくしたい気持ちはわかるのですが、これが思わぬ破損につながることがあります。

実際に、レバーの折損や取り付け部分の変形などを経験してきました。即席の延長は安全性が確認できないため避け、メーカー指定の適合する部品や操作しやすい機種を相談してください。

ブレーキに不具合があれば使用を中止し、レンタル事業者などへ連絡しましょう。日常点検と不具合時の対応は、国民生活センターも注意を呼びかけています。

「クッション、どこ行った?」付属品が行方不明になることも

フットサポート周りのベルト、座面クッション、リクライニング車いすの頭部クッションなどが、いつの間にかなくなってしまうことがあります。

「あれっ!? あの部品、どこへ行ったんですか~?」(笑)

とはいえ、姿勢保持や安全に関わる付属品もあるため、笑いごとでは済まない場合があります。紛失・破損時の費用負担は契約や経緯によって異なりますが、利用者さん側に負担が生じる可能性も。デイサービスや施設の職員さん、ご家族、事業者で、取り外した部品の置き場所や連絡方法を共有しておきたいところです。

誰かを責めたいわけではありません。利用者さんのための福祉用具だからこそ、みんなで大切に扱いたいのです。

車いすは購入とレンタル、どちらが得?

「毎月払うなら、買ったほうが安くない?」というご相談もよくあります。もちろん購入すれば自分のものになります。長く同じ仕様で使うなら購入にメリットがある場合もあります。

ただ、私がご家族にお話しするのは、「その車いす、5年後や10年後も身体に合っていますか?」ということです。

実際に数字で比べてみましょう

たとえば購入価格が50,000円、介護保険でのレンタル自己負担額が仮に月400円なら、1年で4,800円、5年で24,000円、10年で48,000円です。

「えっ、10年借りても、購入代金とほとんど同じやん!」(笑)

もちろんこれは比較のための仮定です。実際の月額や自己負担割合は商品・事業者・負担割合などで変わります。保険対象外なら全額自己負担です。

さらに購入品では、タイヤなどのゴム部品や座面シートの傷み、修理・買い替えが必要になることがあります。逆にレンタルでは、利用者さんのADLや体格の変化に合わせて、契約や在庫の条件の範囲で別の機種を検討できます。

今は立ち上がれる方も、将来は移乗しやすい肘掛けや足台が必要になるかもしれません。「所有できること」と「今の身体に合うものを使い続けられること」は別の価値なんですね。

どうしても買いたいなら、中古品という選択肢も

購入したい方には、中古品を含めて検討することもあります。ただし中古なら何でもよいわけではありません。座幅・座面高の適合に加え、ブレーキ、タイヤ、フレーム、シート、衛生状態、整備履歴、保証や修理先を確認したいところです。

個人的には、介護保険でレンタルでき、身体状況が変わる可能性のある方にはレンタルの良さを丁寧に説明しています。計算例をお見せすると、たいていは「なるほど」と納得していただけます♪

介護保険で車いすをレンタルできる条件は?

車いす・車いす付属品は、介護保険の福祉用具貸与の対象です。ただし、要支援1・2、要介護1の方は原則として保険給付の対象外で、身体状況など一定の条件を満たす場合に例外的に認められることがあります。一般的には要介護2以上が一つの目安になりますが、認定区分だけで自己判断しないでください。

担当CMや福祉用具貸与事業者、保険者である市区町村へ、利用条件や手続き、料金を確認しましょう。レンタル中の点検・修理・交換の扱いも、契約内容を確認することが大切です。

制度の参考:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」/介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」

安全の参考:国民生活センター「手動車椅子の破損に注意」

車いす選定の流れ|アセスメントからお試し・レンタルまで

  • 1. 情報収集・アセスメント:体格、ADL、麻痺、姿勢、使用目的、住環境、介助者を確認
  • 2. 候補の選定:必要な機能、サイズ、移乗方法、車載条件などから絞る
  • 3. 搬入・試乗:実際に座る・動かす・介助する場面で確かめる
  • 4. 調整・再選定:合わなければ無理せずサイズや機種を見直す
  • 5. レンタル・使用方法の共有:操作・点検・付属品の管理方法を説明し、使用後も状態を確認

この順番が理想です。とはいえ、現場では予定どおりにいかないことも多いもの。だからこそ、CMさんと福祉用具専門相談員、ご本人・ご家族が情報を共有することが大事だと感じています。

まとめ|「車いすを1台」の前に、まず暮らしを教えてください(笑)

車いすは、種類が多いから難しいのではありません。その人の身体と生活に合わせる必要があるから、選定が大切なのです。

選定前には体格・ADL・麻痺・操作する人・使用目的・使用場所・必要な機能を確認。試乗して合わなければ入れ替える。そして納品後も、安全な使い方と付属品の管理を続ける。

CMさんから「車いすを1台お願い!」とご連絡いただいたら、今日も笑顔でお答えします。

「はい、もちろんです!……ところで、どんな方が、どこで使われます?」

心の中で「そこ、一番大事なとこやで~!」とツッコミながら(笑)。

※ご本人の身体機能や疾患に応じた個別の適合・操作方法は、担当の専門職と確認してください。

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